世界でいちばん好きな曲。
世界でいちばん切ない曲。
世界でいちばん美しい曲。
この曲に出会ったときから今日まで、ずっとずっとそうでした。
訃報を聞いてからずいぶんと時間が経つというのに、ふとした瞬間にまだ涙してしまう。こんな自分が信じられません。いなくなって初めて存在の大きさがわかるというけど、こんなにも心のいちばん大事なところにいてくれた人なんだなあと、今更ながら驚いています。
初めて行ったコンサートが、RCサクセションの日比谷野音。当時10代だった私にとって、そこはものすごく大人の空間でした。
誰よりもカッコよかった、清志郎さん。
泥臭いR&Bのソウルとエッジィなアートと、アナログな愛をたくさんたくさん持ってた人。
ほんとうのカリスマでした。
いろんな思いがあるんだけど、今、ふと頭をよぎるのはこのエピソードです。
今から10年ほど前でしょうか。テレビだったか雑誌のインタビューだったかで言われたひとこと。
「大人になるって楽しいぜ」

当時は(今もだけど)夢のない世界。若者が将来を悲観するような風潮が主流でした。
そんなときに、敢えての発言。おそらくは確信犯。ご病気を「ブルース」と呼ばれたのと同じように、そうやって清志郎さんは、若者に生きる希望をインプリンティングしてくださったのでしょう。
革命的でした。
今、自分が若い世代に何か伝える仕事をさせていただくようになり、ほんとうにほんとうに微力だけど、心がけているのはこの精神です。
大人になるって楽しいよ。
今より明日、現在より未来は、もっともっと素敵なモノになるよ。
相手の心に張り巡らされたペシミスティックなガードがほんの少し溶けるのを感じると、何かがぽっと咲くんです。
すべての人生にはいつか必ず終わりが来ます。
ひとりの例外もなく。必ず、絶対に。
最期のときまでカッコよくて愛に満ちていた清志郎さん。
あんときの、野音のままだ
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